2002年6月1日




極悪フーリ犬





















朝の餌








今右衛門と犬右衛門

飯碗で浮かれる犬

伊万里の町並み

水鉢と金満犬


和洋構成の部屋

まじゃくの焼死体








平成の安寿と厨子王

見せ物…



御花にて


白秋生家と野良犬


見るからに鰻


群生するムツゴロウ


 みなさまアンニョンハシムニカ!ナヌンタビイヌムギイムニダ!チャルプタッカミダ!(←いきなりの迎合体質…)いよいよ始まりましたねワールドカップ! 6年前に日本での共催が決まった瞬間から、今か今かと待っていたその日がついに、あ〜イヤでイヤでしょうがありませんよ!!(←おいおい!←たび狸、アンチ国粋&全体主義…) しかし飼い主と違い完全国粋主義の軍用犬、もはや大浮かれのタップダンスでフレッド・アステア気分。出来れば開幕式のソウルに駆けつけたいものの、そのタプタプのお腹は「鍋」にされる恐れが満点のため、代わりに佐賀に行ってまいりました! …えっ?なぜ佐賀にって? もしや貴方様はそんなわかりきった事を本気でお尋ねですか? 決まってるじゃないですか「ワールドカップさっが〜」なんちゃって!!(←この直後、主筆・たび狸、イングランドのフーリガンに撲殺。よって以降は「わび狸」の代筆…)
 さて、佐賀県と聞いて皆様何か思い浮かびますか? ズバリ!何にも思いつかないでしょ。そう、佐賀といえば「全日本忘れがち都道府県」の三傑!(←わび狸独断。残りは石川と島根→苦情は外務省領事部まで) 明治維新を成し遂げた「薩長土肥」の一翼でありながら、世に知られているものは「武士道とは死ぬことと見つけたり」という、今となっては、当HPなみに意味不明な『葉隠』と(←天誅?)、室町時代のハローキティとして有名な(嘘)お茶目な鍋島騒動の化け猫くらい。しかしなぜ、こう執拗に佐賀の皆様に失礼なことを書き散らしているかというと、わび狸、大学時代に佐賀県出身の同級生にビニール傘を盗まれたというせこい恨みあり(←私憤…) 雀百まで踊り忘れず!(←誤用…) てなわけでチャチャと終わりにしますからと、6月1日〈ちなみにこの日はむぎに相応しく、奇しくも「麦茶の日」〈日本麦茶工業協同組合(全麦茶←!)が
1986年に制定。←本当!〉。8時20分発のANA451便で、これまた影の薄い有明佐賀空港(佐賀県民の多くは便数・路線ともはるかに便利な隣の福岡空港を利用とのこと!)へ向かい旅立った。
 空港へは1015分着。最近、車はニッポンレンタで堕落のカーナビ付き(2日間で11600円)。さて、今回の旅、主演たび犬も6歳を超え、石坂浩二の水戸黄門降板説などもあり(?)予定は極力のんびりと。まず「犬道とは食うことと見つけたり」と早速の“ブランチ”へ。北方町の「名代井出ちゃんぽん」(TEL0954-36-2047)は60年の歴史を持つ、地元近郊で大人気の食堂。自慢の特製ちゃんぽん750円也は、野菜たっぷりでものすごいボリュームながら、コクのあるスープが美味でペロリと完食。で、続いて向かうは“そういわれればそう”と思い当たる、佐賀は焼き物の名郷。とりわけホッケ、サザエ壺焼き、…などは関係なく、「有田」「伊万里」「唐津」という超有名ブランドの焼き物の里を抱える名県。そこではいまも濛々と煙が立ち上り新鮮なサンマやツブ貝が…(←つくづく粘着…)。ということで、今日のメインは有田・伊万里2大焼き物の里巡り。狸のお目当てはドナルドのランプシェード!(←本物の馬鹿?)、黒牛は狸を一刻も早く入れたい骨壺、犬はいくら食べても減らない魔法の食器…。三者三様の私欲と勘違いを胸にまず向かうは有田の町へ。
 有田は日本の磁器発祥の地とされ、約400年の歴史を誇っている。乳白色の白磁に単色の絵付けを基本とするも、独自の創作による新しい作風も増加中。「柿右衞門窯」「今右衞門窯」「源右衞門窯」が“三右衞門”といわれる代表窯元だが、わび狸調査員の独断では「柿」はいかにも古風な文様で、気になる“犬の放置難易度”は普通。「今」は値段が50万、100万という超論外&大雑把な設定で、国道に面しているため犬放置は難。その点「源」は郊外にある瀟洒な庭園つきの陶房で、デザインと着彩が非常にモダンかつ値段も中庸、さらに工房見学も開放的で容易と、犬連れ旅には一番のお薦め。当家の「たびむぎ屋犬右衞門」も、お小遣いをはたき金一万円也のご飯茶碗を購入。白磁の小振りな茶碗に野の草花を描いたものだが、精密な絵付けと、珍しい茶系の落ち着いた色合いが秀逸で、犬のくせに満足のご様子。ちなみにやや離れたところには計25店舗が軒を連ねる近代的な「有田焼卸団地協同組合・有田陶磁の里プラザ」TEL0955-43-2288)があり、こちらは作家物こそ少ないが、手頃な値段の普段使いの有田焼が勢揃い。犬はガラス扉越しの舗道に安全放置。ただし全店舗丹念に見ると間違いなく数時間かかるので、根気と寿命の短い方は注意のこと。
 続いて向かうは有田から約15km離れた伊万里の里。鍋島藩御用窯の精密な技法を今に受け継ぐ伊万里焼は繊細な文様と鮮やかで気品あふれる色付けが特徴。こちらは、有田の“三右衞門”のような超有名工房がない代わりに、多くの窯が「大川内山」という地域に集まっており、本道を離れて車の通りもごく少なく、犬とののんびり散策には有田より明快にお薦め(1周40分程度)。一軒一軒が隣接しているだけに端から順に見て廻れるのも嬉しいところ(店も有田より気さくです)。ここでも、札束で横面を叩く悪代官犬、茶碗を買ったからにはセットで水飲み鉢をと、爪に火を灯して積んだ簡保を解約してまで、最近ちょっと人気の故・澤田痴陶人デザインの水鉢金六千円也を購入。まさに平成の田沼意次犬、強欲のままに念願かない犬コロの分際で見事な「二つの杯」をGET! もしや! まさか! と御危惧の貴方様! 大あたり! これが文字通り「たび犬W杯」!!!(←この直後、わび狸、オランダのフーリガンにより刺殺。よって以降は「かび狸」が代筆…)。
 本日の宿はJR佐賀駅に近くの「四季彩ホテル千代田館」。昨年11月に新装オープンしたばかりの館内はどこもピカピカ。ツインの客室には広い座敷もついていてゆったり出来るが、ルームチャージ17000円+犬料金2000円と値段はマンハッタン並(?)。創作料理のレストランも併設されているが、夕食は市内の郷土料理店「和食処むつごろう」(TEL0952-23-0656)に出陣。有明産の魚介はもちろん、地鶏、明太子、薩摩揚げなどなど佐賀郷土料理と九州料理両方がリーズナブルな値段で楽しめるのがお薦め。有明料理からは、今が旬のまじゃく唐揚げ(シャコの一種で殻ごと食べられる)、エツの刺身(カタクチイワシの仲間だが淡泊な白身の小魚)、メカジャのバター焼き(マテ貝のこと)、ガン漬け(シオマネキの塩辛)をオーダー。どれも予想以上に美味で満足。おまけに、有明料理はメニューに「時価」とあり心配も1品600円程度で大安心(←根っからの小心者)。
 さて、朝起きたら翌日でした(←?) 今日のメイン、というより、今回の佐賀旅行のメインは「水の都・筑後柳川」訪問。北原白秋と松岡修造(←コアな話題…)で有名な柳川は、町中を縦横に走る掘割と武家屋敷に立花藩十二万石の城下町の面影を今に残す詩情豊かな水の町。な〜んだ佐賀県もやるじゃないか!と思ったらここは福岡県…。何か問題でも?(←お約束の逆ギレ?。ちなみに佐賀県のNo1観光地・吉野ヶ里は犬禁!)。観光のメインは何と言っても川下り。通常観光の場合は駅前に業者のマイクロが止まっており、好きなものに乗り込み乗船場まで。舟は約12〜15人乗りの乗合で、川下りの終点は大部分が「御花」前。そこから再び駅までマイクロ送迎。これで1人1500円が相場。で、気になる犬の乗船は? と、今回はさすがに事前に問い合わせると「籠に入れて膝の上に置いてもらえば…」とまあ予想された答え…。しかし、通常タイプのコーギーならともかく、当家は「巨大ナマ白お地蔵様タイプ」! こんなもの膝に乗せたらまるで「抱石の刑」! ということで、な〜〜〜〜んと、かび狸、われながら馬鹿丸出しと思いつつ、一艘チャーターを決行! 業者は数あれど貸切りは一番安かった西鉄柳川観光開発(TEL0944-72-6177)に。ちなみにこの場合5人まで乗船可。事前予約割引で709000円也。しかし 同乗者を客引きするわけもいかず、乗合2人分との差額6000円はむろんむぎ払い。それを悲観し入水しようとする吝嗇犬を針金で縛り上げ、いざ川下りに出発!
 ベテラン船頭さんの案内で、なまこ壁の土蔵や白州の歌碑、赤煉瓦の並倉、川岸咲く紫陽花や花菖蒲などを眺めながら、約4kmの行程をのんびりと進む「どんこ船」。しかし、この情緒を台無しにするかのように城下町とは無関係なマル暴犬が舳先に‘箱乗り’状態で乗船。すれ違う他の船からは「ああやって救助犬を乗せてる船もあるんですよぉ」などとネタ扱い…。途中には、ジュース、ビールなどを揃えた水上売店もあり、アイスクリームを虎視眈々とねらうハゲタカ犬は失笑の的に。かくして、運が良ければ有名な「嫁入り舟」でも見られると期待した観光客の期待を裏切る、くされ犬&牛が鎮座した「おわい舟」(←おいおい…)は石やおひねりをぶつけられながらも、楽しい川下りを終了。もし5人揃えば差額は一人300円なのでアムネスティもチャーター舟を密かに支援との噂(意味不明)。
 さて終点の「御花」は元禄十年(1697)に柳川藩主立花家の遊息処として造られた別荘。国指定の庭園・松濤園と明治43年に迎賓館として建てられた瀟洒な西洋館が観光名所となっており、無料の外庭園は犬OK。ちなみにこれからの季節は庭園バーベキューも営業とか。さて町を歩くと、白秋道路、歌碑、『まちぼうけ』の童像などなど、至るところに白秋の名が。それもそのはず、詩人・北原白秋は代々柳川藩御用達の海産物問屋を営む旧家に生まれ、57才で亡くなるまで、「水郷柳川は、我詩歌の母体である」と述べ、生涯柳川を愛し、『しかられて』(ダイエーで万引きしたコーギーがセコムの警備員にお腹を見せて許しを乞う唄)『あわて床屋』(コーギーの床屋が妬みから人気犬種のミニチュアダックスの尻尾を間違ったフリをして切ってしまう唄)『まちぼうけ』(バスで帰ってくる主人を波止場で待って行き倒れたまぬけコーギーの唄)『ペチカ』(駅の階段で盗撮をしていたコーギーが大黒様に火にくべられる唄)など、数多くのすぐれた詩で知られる愛犬家(大嘘)。昭和44年に復元した白秋の生家はなまこ壁が美しい土蔵造りの家。裏手の記念館には著書や愛用品等が陳列され、白秋の面影を偲べるが、文盲犬のため写真撮影のみで見学省略。
 西鉄観光は出発地点まで送迎がないのでTAXI利用で駐車場に戻り、昼食は名物うなぎせいろ蒸しの「元祖本吉屋本店」(TEL0944-72-6155)へ。甘辛いタレをたっぷりかけたをご飯に蒲焼きを乗せ、ふっくらと蒸し上げた柳川名物料理。落ち着いた和室で食す江戸時代以来の秘伝のタレを使ったせいろ蒸しは美味なり。かび狸、お決まりの「茶色い瓶の発泡性の液体」を2本あけ大満足。
 そして余った時間は再び佐賀県に戻り芦刈町にある「ムツゴロウ王国」に。海岸一帯が世界で唯一のムツゴロウ・シオマネキ保護区になっており、干潮時にはいつでもムツゴロウを間近に見ることが出来る隠れた人気スポット。しかし「王国」を名乗るものの王様の姿や治世施策は判然とせず(当たり前…)、かわりに当家の「ムクゴロー先生」が32度の暑さに耐えかねて有明海の泥水に入水する始末…。が、隣接のムツゴロウ公園は気持ちの良い芝生が広がり犬大爆走可の広場があり、今まで落ちなかったガンコな汚れもこれなら安心(←当社比←?)。むろん、「本当にあんなにウジャウジャいるんだムツゴロウ!」と自称“ムツ・サポーター”(?)の黒牛もご満悦! …ってこいつは何???
 ということで意外に大充実の佐賀旅行、傘を盗られた恨みは忘れねど、一行は大満足で1810分発のANA456便で東京に戻りましたとさ。 えっ? ところで、なぜ今回は「たび」「わび」「かび」と競っていろいろな作者が出てくるのかですって?。両民族の不幸な歴史を繰り返さないために冷静に前向きに聞いて貰えますか…? 本当に約束ですよ!! 「ワールドカップ作家〜」なんちゃって…。 ピュ〜〜〜〜〜〜〜!(←逃げ音。しかし、この後、三狸はあえなく捕獲され、小説の神様・坪内逍遙により縊殺…)