99年8月7日
































犬の陶板焼き



にせハチ公



レトロ…



長瀞と大とろ




犬と狸の死闘

 「♪夏が来れば思い出す、遙かな尾瀬、野の小道。霧の中に…」。どうせ全文一括変換など出来まいと打ったら、なんと一発で変換!こしゃくなり『一太郎Lite+ATOK12』!と、いつもながらの文字数稼ぎで始まったこの章、夏だというのにラジオ体操の出席カードも貰えないたび犬むぎ、それは、いまだの冬毛か、その短足ゆえ“大きく前にならえ”が出来ぬからか…。隙あり!「♪卯の花の仁王垣根に、ホトトギス鞘も機泣きて…」。ほ〜ら変換出来ない! 油断しおってホッホッホッ…。
 と、たび狸が一日中壁の隅に向かって独り言をボソボソと呟いている原因は、関係各方面から連続して寄せられる「最近HP更新しませんね〜」という冷笑の嵐!「とかく世間は難しい。智にはたらけば角が立ち、情に棹させば流される…」。全然、引用が間違ってますけど。「この犬さえいなければ…」、そんなことから(どんなこと?)、冷房の効いた部屋でのうのうと仰向けにころがっている犬を見て、たび狸に心に芽生えた邪悪の念。そう、8月といえば「精霊流し」! それはたぶん、大きな毛深い犬のお腹にマジックで願い事を書いて川に流してしまうという、日本古来の優雅な民俗信仰(栗良平氏推奨)。これは即出撃だっ! ということで(だからどういうこと?)、もはや犬を憎むご一行は、翌日に予想される帰省の大渋滞を避けるため(事実、翌朝渋滞52km!)、8月6日金曜日の夜、浮力をかせぐためたっぷり冬毛を貯め込んだ巨大犬を羽交い締めにして、関越道に出発したのでありました。
 今回の目的地は埼玉県・長瀞(ながとろ)。秩父連山を源とする荒川の流れにより造られた峡谷で、隆起した奇岩の変化に富んだ景勝地。その瀞と瀬を行く舟下り「長瀞ライン下り」はとみに有名。東京から至近の“典型的観光地”で観光客も超多数。さらに荒川だけに、犬も最後は東京に流れ着く楽しみが! 花園ICで降り都内からたった90分で到着。途中、なぜか東松山で寄り道し食事をしたので(詳細秘密)、この日は、一家、別れの水杯を交わしすぐ就寝。同宿の法政大学射撃部ご一行うるさし! しかし敵は銃を…。強い者には巻かれる軟弱者でもありました…。
 さて、翌日、HPの埋め草探しに車で30分の秩父市をまず攻略。毎年12月3日に行われる有名な「秩父夜祭り」。その厳寒の祭りを3回も凍死しそうになりながら見た無意味な経験を持つたび狸ご一行を出迎えたのは、激熱の街中鉄板焼き状態。秩父神社で恒例「天下統一、交通安全」を祈願し、有名な「安田屋」(Tel0494-22-4322)の豚肉味噌漬けを購入し逃げるように退散。でも本当はレトロな観光ポイント山盛りで、犬を流さないならこの町をぜひ中心に(注=夜祭りの日には絶対犬を連れていかないように。100%ピョン吉状態で圧死します)。で、長瀞町に再び戻ったのが12時半。
 長瀞。ながとろ。英語でいうとNAGATORO、ヘブライ語でいうと…。などと、しぶとく文字数稼ぎをしたくなるこの町は、一言でいうと「昭和40年代の観光地」。観光SLも通る、とても懐かしいたたずまいの駅から、天然記念物の「岩畳」に向かう道には両脇にレトロな土産物屋が。商品は、漬け物、お菓子、民芸品、竹細工、さらに“懐かし系”のオモチャの数々。どれもこれも安いから、好きなら店ごと買いなさい(なげやり…)。それからここ、もうひとつの自慢が「蕎麦」。小さな町なのに「そばの街研究会」なるものがあり、熱心な会員店が多数。と、くれば関八州蕎麦目付・たび狸が黙っているわけにはいかぬ。せ〜の「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」(ベタなギャグ)。
 さて、気を取り直し片っ端から蕎麦屋攻略を開始! 「と○や」(Tel秘密)「ま○や」(Tel内緒)「さ○○い」(Tel教えん)。で、結論。
「…きっと、最初に始めた人が、何か間違ってたんだな…」(匿名希望のた○狸さん)。「ま、好き好きですけど…」と、東の空を見てポロポロ涙をこぼす○び狸であった。
 そんなこともあり、失意のご一行 、隠れた人気の「宝登の会の饅頭」「天然氷使用かき氷」などで徐々に気を静めつつ、メインの「長瀞ライン下り」(Tel0494-66-0950)へ。乗船料1人たったの1550円。このご時世、この値段では「マジック野菜スライサー」くらいしか買えない値段。「この川にはね〜、鮎や鯉、それに鯨や鮫がいるんだよ〜、でも鯨は土日は休みだよ〜」などという船頭さんの“お約束”の小粋なトークを聞きながら、岩畳からのんびり30分の行程(犬は留守番)。終点に着き、西の空を見ながら「マジック野菜スライサー…」とポロポロ涙をこぼすたび狸の姿も印象的…。その後、岩畳に戻り散策。犬を流すチャンスをみはかれど、川がすぐ深くなっていたり、多数のカヌーで断念…。犬、勝手に水遊びを謳歌。日没につき、昨日からの宿へ。
 今回の宿は「ラジウム温泉秩父館」。川&岩畳に30秒という抜群の立地で1泊12000円。改築直後で清潔な館内、家族経営でみんなとても親切で、犬も大歓迎。東京からも近いし、初の「犬旅館体験」としておすすめ。…が、しかし! 夕食は失格! どう考えても少なすぎ! お泊まりになる方は補助食料の缶詰(佃煮、蒲焼き、焼き鳥、シーザー…)の持参をぜひ! と、通りすがりの○○狸さんはポロポロ涙を流しながら言い残した…。
 さて、翌日、今日こそは犬を流さねばならぬ。ということで、おなじみ嵐山渓谷へ。一般道路で約50分。途中、国道254号線沿いに「嵐山農協直売所」(Tel0493-62-6596)がリニューアルして大盛況。新鮮野菜が安く土産用に大量買い。その後「月川荘キャンプ場」(Tel0493-62-2250=注・槻川橋下にある犬禁のキャンプ場と間違わないように。もっと奥)へ。混雑時期にも関わらず「犬?どうぞどうぞ」と相変わらず鷹揚。水量も豊富で、さあ犬を流すぞ!と渕に連れていったところ、その水量でたび狸が深みに流されてしまう始末。さらに場内のあちこちに「ゴミ完全持ち帰り」の文字…。もはや、気力も体力も涙も枯れ果てたたび狸、仕方無しに今回は、犬持ち帰りに決定。そんな飼い主の痛恨の挫折をよそに、冬毛&連日の水浴で「スーパーはぼき」状態になったナマ白巨大犬は、いたくご満悦で、川原でバーベキューを楽しむカップルを恐喝してまわるのでありました…。

追伸
「子供の時、リスを飼ってたんだけど、冬になったら動かなくなったので、サヨナラと言って川に流してあげたんだ」という私と同期入社の甲府市出身の若林君。君は間違っている。それは冬眠だ…。(何?この章?)