99年5月8日






堕落のかぎり
























磯乃家にて(一部)





♪おいら岬の〜



なまはげとなま白犬




秘湯と卑怯



小京都と大犬






 北海道オフから中3日で沖縄に飛んだたび犬むぎ、東京へ帰った翌朝、起床10時。犬のくせに10時!たるんどる…。その日の散歩、超低速。たるんどる!さらにこの日、酔っぱらって回転しつつ帰ってきたむぎ父への出迎え無し!忠誠心もなし!!!思い起こせばはや2年半前、家族ではるか試練の「たび犬の星」を目指すと誓ってから、心のゆるみが丁度出る悪い時期。甲子園での松坂君の連闘を忘れたか!ということでむぎ父ことたび狸、急遽、中5日、三週連続の飛行機旅を決定!これはもはや一匹の犬がどれだけ人間のイジメに耐えられるかという、心すさむ「動物実験」のレポートである。
 旅には目的地が必要。しかし今回の真の目的は「いじめ」である。が、最近の告訴ばやりの世の中、うかうかすると「家庭簡易犬裁判所」に訴えられる恐れも。そしてただでさえ愛犬家から解散請求の出ている当HP。よって旅行は巧妙に「研修旅行」という名目に。となれば、目的地はひとつ。長い長い犬業界で、今なお燦然と輝く「忍耐」と「忠誠」の 象徴、あの『知ってるつもり』に(くどい?)唯一人間以外で取りあげられた、そう「忠犬ハチ公=秋田犬=秋田県」だっ!!!この『小学一年生(入学準備号)』ですら採用しないような発想で、 かよわき犬を徹底的にしごくために、たび狸の邪心は紅蓮の炎に燃え上がったのだ、ドロドロドロロ〜ン。
 5月8日朝5時起床。おもむろに昨日隠れて用意した中型スーツケースを持ち出す。ところが、むぎ、「さ〜今週も行きますか〜」という平然とした顔!なんと生意気、学習しとる…。ちなみにむぎ家では「大型スーツケース=長期旅行=犬抜き=がっくり」「中型スーツケース=短期旅行=犬同伴=お喜び」「小型スーツケース=たび狸出張=犬関係なし=興味なし」という3パターンだが、なんと「お手」と「万歳(秘技)」の区別も出来ないなまくら犬のくせにいつの間にか鞄を見分けるとは、こしゃくな…。「門前の小僧、習わぬ経を覚える」。ちょっと違うけど。ということで7時羽田発、たったの1時間で秋田空港着。通算11回目の搭乗にして通算11回目の失禁…やっぱり、ちっとも学習しとらん!
 さて、秋田、観光名所は数あれど、今回はあくまでも「研修」。そこでまず訪ねるは、あの有名な先生。赤ペン先生?ふくろう先生?浪越徳次郎先生?否!秋田の教育者といえば「良ぐねぇ子はいねぃが〜」と曲がった子供の根性を叩き直してくれる(?)、あの有名な「なまはげ」だ! 。手元の重要資料「社会科年表1967」によるとなまはげ先生(??)の生息地は男鹿半島。かくしてご一行恒例トヨタレンタ最廉価車種で男鹿へ。しかし早朝発&朝食抜きでたび狸はやくも御休憩モード。そこで目を付けた男鹿市船川港門前の「旅館磯乃家」(Tel0185-27-2011)へ。うっかり見逃しそうなこの旅館、なんと10時から早くも昼食のみの利用が可能。料理はひとり3000円のコースを注文、すると出るわ出るわな〜んと14品、それも「伊勢海老」「鮪」などどこでもある素材ではなく、ハタハタほか地元で揚がった新鮮素朴な漁師料理のオンパレード。最上の7000円など頼んだら満腹死確実!( 実は伊勢海老だったりして…)。たび狸アサヒビールを…。
 恒例。次にたび狸の意識が戻った時、車は男鹿半島突端の入道崎に停まっていた。この灯台を中心とした岬は全面が広大な芝生になっており、犬大爆発間違いなし。舌先三寸の当HPなれど、むぎの喜び方は過去最高!つまり当家のようにIQの低い犬に絶対絶対お薦め?!さらに岬の下からは「グラスボート」が運行(犬、券売所で留守番)。たったの800円で絵にもかけないつまらなさ!これは一生忘れられない思い出。大人の遊びを知り尽くした貴女にはぜひお薦めのSM的観光スポットです。勢揃いした土産屋にはなまはげの置物も、しかし、これは違う…そう、続いてご一行が向かった男鹿第一の観光地・寒風山展望台、ここがなまはげ先生の本拠である。
  なまはげ先生。姓「なま」名「はげ」。職業なまはげ。彼はシーズン中、ひがな展望台で客を待つ。人が通りかかると「ウォ〜」と威嚇して存在をアピール。足下には「寒風山観光記念○月○日」のボード。そして彼の生業は1回500円のモデル料。はっきりいって時代遅れの商売…。しかしこんなもののために東京からわざわざ総額9万円も使って来る馬鹿一家がいる。そう、わしじゃワシじゃわしのことじゃ〜。かくしてむぎあこがれのなまはげ先生と記念写真GET。この費用一切税法上必要経費として認定されず…。つくづく自虐的。
 この日の宿は内陸部に引き返し、田沢湖高原温泉郷の「田沢プラトーホテル」。「日本一深い」というひとりよがりな特徴を持つ田沢湖から車で20分。オーナーが警察犬のブリーダーでもあり、犬大歓迎のこのホテルは、名前とは違い内装は和風旅館。何より嬉しいのは犬と泊まれるのに、本格的な温泉!いわゆる硫黄の単純硫化水素泉でヒバと秋田杉を贅沢に使った大きな湯殿はもちろん24時間入浴可。夕食は各家族別の専用囲炉裏で山海の味覚を目の前で、さらにご飯は大きなかまど炊き。これはもうたび狸、サッポロビールにアサヒビールに田沢湖ビールに…。
 さて翌日、ここまで来たなら温泉のハシゴがしたい。ということで宿から車で15分の乳頭温泉「秘湯・鶴の湯」(Tel0187-46-2100)へ。開湯以来350余年、日本一の露天風呂に何度も選ばれているミルク色の大露天をはじめ、4つの泉質が楽しめる。これで日帰り入浴400円。天気がいいとすごく気持ち良し。
 そして心身ともにのぼせ上がった一家が向かう今日のメインが「東北の小京都・角館」。「じゃあ東北の中京都は?」「東北の小奈良は?」とかさにかかって騒ぎ立てるたび狸をむぎ母黙殺…。有名な武家屋敷としだれ桜の町並みを、食べたり、買ったりしながらのんびりと散策。町の人がみんな犬に優しいぞ。あっ!といえば、当初の目的の秋田犬!その名も「秋田犬会館」(大館市Tel0186-42-2502)は思いの外遠くてパス!たび狸まるでやる気無し。計画性も根性もなし。ということで最後は秋田市内にもどり夕食に「名物きりたんぽ鍋」を賞味。そして時間が無くなり、大急ぎで秋田空港へ。むぎ搭乗12回目にして12回目の失禁。かくして犬と飼い主の意地の張り合いの「研修旅行」は、両者へとへとになり終了。結局、この三週連続飛行機旅行の真の勝者は、全日空とビール会社であったことがすでに判明している…(経済企画庁調査)
         【誠実経営のたび狸わがまま旅行社から】

 いつかは犬と飛行機で旅したい。そんな方に最初のお薦めがこの秋田と前出の富山経由飛騨高山です(羽田からの場合)。飛行時間が短いため、犬の負担も少なく、早割・特割等を上手く利用すると案外安く済みます。両地とも良い犬の宿があり、人間の食べ物も美味しい地域です。犬との楽しい思い出を創りたい方、犬を徹底的にしごきたい方(?)、ぜひ出かけてみたらいかがでしょう。