夏の夜の怪談


96年8月某夜
のろってやる!


 本格的ドライブに備えて、都内のむぎ母の実家などに車でミニドライブを繰り返すむぎ。そんな夏のある夜、なんとも不可解な出来事が起こった…。
 むぎ父。彼は運転は上手だが忍耐力がない。渋滞、工事、雨などがあると、運転を「下手だが牛のような忍耐力を持つ女」むぎ母にすぐ代わる。そしてあの雨の夜…。「代わって!」「いいよ…」。そして暫しの沈黙の走行中、「…ハァ〜…」というなんとも悲しげなため息が…。「何?今の!」「何?!」。こんなことがそれから何度も起こるようになった、一体、何の祟りか狐の仕業か!…そう、犬の仕業であった。生意気にも、むぎは運転者を運転で判断し、下手なむぎ母がハンドルを握ると、こんな風に「抗議」の声をあげる余裕を持つまでになっていた。つぶらな鯖のような目をしてるくせに侮れない犬である…。「たび犬デビューの日は近い!」こう呟きながら、すかさず大音量で大黒摩季を嫌がらせで聞かせる、むぎ母であった…。